◇2球の5球スーパーの製作◇

 2球の5球スーパーというとおかしな表現ですが、普通の5球スーパーは、周波数変換、中間周波増幅、2極管検波、低周波増幅、出力、整流を5本の球で賄っています。2球でこのラジオを作るためには、複合管とレフレックス回路が必要になります。
 今回作った2球スーパーは、6BH11の5極部で周波数変換、117N7の5極部で中間周波増幅と出力そして6BH11のG1で2極管検波、もう1つの3極部で低周波増幅、117N7の2極部で整流としています。


なかなかうまく働いてくれなかったラジオ


 117N7の5極部で中間周波増幅はCpgが大きいこと、そしてピン配置がPとG1が隣り合わせなので中和を取りました。この中和の取り方は、昔42シングルで7MHZに出ていたときにお世話になったラジオ技術1956,7に"梶井兼一氏"が書かれた"CCS,ICAS規格と正しい中和の取り方"を参考にしました。
 最初、発振コイルは6mmのボビンにハニカム巻きコア入り6BE6用の既製品にハニカム巻きの下へ30t,55t,70tのコイルを巻いたものを使いました。ところが発振させると70tのコイルでもバリコンを回すと発振が止まるところが数カ所ありこのコイルの使用は諦めました。
 発振コイルにはコア入りを使いパティングコンデンサーには、正しい容量のコンデンサーを使うと調整が楽なので、コア入りコイルを自作しました。コアはバーアンテナ用を約1cmに切り、3cmのビスをアラルダイトで接着しました。
 このコイルを使うと全域で発振しましたが、バリコンを回しても放送は入りません。


シャーシ内部の様子


 そこで配線を変えて、6BH11の5極部で周波数変換、6BH11の3極部のG1で2極管検波、もう1つの3極部で低周波増幅、117N7の5極部で出力に変更してみました。この状態でテストオシレターから信号を入れると、出力最大でどうやら聞こえる状態です。最初6BH11の5極部のKには2KΩ、G2には10KΩを使いました。これを可変抵抗に代えて最良点を探し出し配線図のデータになりました。この状態で地元の放送が何とか入るようになりました。
 そして、また配線を元に戻してテストオシレターから455KHZを入れましたが2段目のIFTの同調が取れません。IFTを分解してコンデンサーを取り替えました。これで455KHZに合わせられましたが、IFTのコアを入れていくと発振するので、中和コンデンサーを回して発振を止めました。117N7のP側IFTはコアを一番抜いた状態です。これは117N7のP-E間の容量が大きい事と中和コンデンサーの影響です。IFT内部の同調コンデンサーを小さくすれば良いのですが、そのままにしてあります。


シャーシ後部から


 トラッキングを取り、ようやく働くようになりましたが、標準の5球スーパーよりは感度が低く、大きなアンテナを付けて、音量最大では地元の放送を聞くと発振します。
 しかし以前製作した中間周波と低周波増幅をレフレックスにしたラジオでは、検波出力のところに音量調整を入れると、VRを0にしても音量が0になりませんでしたが、今回のラジオはその様なことはありません。
 配線をしていて気付きましたが、6BH11の5極部のG1と3極部の検波のPとは隣り合わせです。これで発振しないのが不思議なくらいで、3極部の検波のPはアースをして、検波はG1だけを使いました。それでも530KHZ付近で発振しますが、これは諦めてそのままです。
 117N7は、7番ピンに整流の2極管のPと、ヒーターが内部で接続してあり、配線には注意が必要です。ポリバリコンはラジオが小型に出来るので使いましたが、付属のトリマーを調節するために、ポリバリコンの背面を空けておかなければなりません。


◇ 回 路 図 ◇


 出力管をレフレックスに使いましたが、実用上の音量ではあまり音質が悪くないので安心しました。
 117N7はヒーターが100Vでも働きますが、整流管は規定値でヒーター電圧をかけた方が寿命が長いのでトランスを使いました。

<2005.04.19>