◇4球スーパーの製作◇

5極管で周波数変換をさせたスーパーをつくりました。


 このラジオを作ることになった発端はというと、掲示板に投稿された箱にスーパーを組み込めるかがテーマでした。大きさは、約W265mm×H180mm×D145mmでシャーシは約240W×140H×120D程度の小さなものです。
 この箱は、そのときに鈴木さんからシャーシ、ダイアル、SP付きを頂き、チャレンジすることになりました。
この素晴らしい箱に合わせて5球スーパーよりランクがひとつ上の高1付きスーパーをと考えて作り始めましたが失敗で、結局5球スーパー並の4球スーパーになりました。
 球の構成は、6SH7−7E7−6T9−6X5です。


想像以上に小さな箱

普通のバリコンではGT管ではせいぜい2本


 最初は、非同調高周波増幅と周波数変換に、コンパクトロンの双5極管6J11を使ってみました。組み上げて電源を入れると、約600KHz以下が受信出来ません。調べてみると、1100KHz以下では発振が止まります。
 試しにフイードバックコイルの巻き数を増やしても、周波数変換部の電圧を変えても駄目です。発振の止まり方がどうやら他の回路に吸い込まれるようなので、まさかとは、思いましたがアンテナコイルをショートさせると局部発振が完全に止まりました。
 それで高周波増幅と周波数変換との間の結合コンデンサーを外すと、全周波数で発振します。これでは仕方がないので、6J11をあきらめ周波数変換の回路はそのままで6SH7に変えて無事働くようになりました。最初から周波数変換に6SA7を使っておけば、こんな苦労はしなくても済みました。


回 路 図


 回路図を見ると、5極管の周波数変換はどうも無理があるようです。6SH7のカソード抵抗は最初3.3KΩでしたが1200KHzより高い方で放送にビートが入り8.2KΩにして止めました。また、6T9でも発振しました。参考に修理の本を読むと【6ZDH3Aと6ZP1が接近していると発振するので6ZDH3Aにシールドケースを付けよ。】とありました。そこで6T9をよくよく見ると内部にシールド板らしきものが見えますのでピン6,ISをアースして3極部のG1に250PFを入れてようやく発振が止まりました。
 アンテナコイルは、トランジスタ用と思われるバーアンテナに付いていたものです。このままではインダクタンスが多すぎるので、コアを約3cmに切り、370pFで535KHzに同調するように、コイルをコアから少し外に出して固定してあります。シャーシへは両面テープで貼り付けることにしました。


シャーシ上部から


 電源はPTのB巻き線の定格がAC60mAなので、やむを得ずシリコンに応援を頼みブリッジ整流にしてあります。もし球を使うとなれば、両方のカソードが分離した双2極管(7X6など)が必要です。
 そして普通のAVCでは7E7のG1にカソードバイアスの+電圧がかかり、0バイアスになるのを防ぐために、あえてDAVCを使っています。
 近頃?の部品は大変小さくなりました。昭和20年代のチューブラコンとL型抵抗では、この大きさのシャーシに組み立てることはまず出来なかったでしょう。


後 部 写 真


シャーシ全体


 一応室内アンテナでラジオ関西も良くはいるのでまずまずです。ダイアル目盛も大体合っています。

<2005.06.10>