◆鉄ケースに入れたラジオ◆

鉄ケース入りのプリアンプの中古が手に入りました。
このケースに遠距離の放送も聞けるラジオを組み込みました。


 使用球:6K7-6AN7A-6EH7-6SZ7-EL91-6X5
 このラジオは、周波数表示にデジタルカウンターを使ったので、バリコンはギヤ付きのものにつまみを付けただけです。
 自作ラジオの難点であるダイアル、目盛りの記入などが不要で便利です。
そして、このラジオは感度も良く周波数直読なので各地の放送が聞けます。


プリアンプのケースを利用した受信機


 高周波増幅に6K7を使ったのは、G1が下に出ていると発振が怖いからで、G1が頭にある球を使いました。これで高周波増幅が発振して頭に来ることが無く快調です。
 周波数変換の6AN7Aは6AJ8とよく似た球で、6AJ8より安いので使いました。中間周波には村田製作所のセラミックフィルタCFN455Fを使い、普通のIFTより損失が大きいので6EH7を使いました。Gmが大きく、普通の使用法では、発振するであろうこの球も入力が5kΩなので安心です。
 これで普通のIFTを使用した6BD6の場合と感度はほぼ同じです。このフィルターは6db帯域は±6KHZですが60db帯域が±10KHZくらいで普通のLCを使ったIFTより格段に良く、それでフイルターの前後のIFTは分離を考える必要が無く2個ともトランジスタ用です。


◇回 路 図◇


 トランスの電流容量が小さいので、6SQ7のヒーター電流が半分の6SZ7そして出力のEL91もヒーター電流が0.2Aで出力がEP250Vの時1.4Wと手頃な球を使いました。
 コイル類ですが、アンテナコイルは自作、プレートコイルはスターの高一付きのコイル、発振コイルはA,E,S製と寄せ集めです。パディングコンデンサーは430pFのチタコンを使いました。
 6K7,6AN7A,6EH7のSG電圧は、12V,1Wのゼナーダイオードを8個直列につなぎ、安定化してあります。


◇シャーシ後から◇


周波数指示用のICは沖電気のMSN5525,表示は蛍光表示管です。これは、20年くらい前に作ってあったものを利用しました。このICはスタティツク点灯方式なので雑音が少ないのが良い点ですが、4本の蛍光表示管それぞれに配線が必要なのが欠点です。一応、念のため鉄のシールドケースに入れてあります。

<2005.01.30>

◇ケースキットに組んだラジオ◇

 昔、私がラジオを作り始めた昭和24年頃は、ダイアル、シャーシ、箱は、別々に買い込み箱にダイアル用の枠(当時はエスカッションと呼んでいました)と、VR,SWなどの穴開けをしておりました。
 その後ケースキットと呼ばれたダイアル、シャーシ、箱がセットになった品が現れました。このキットを使えば、箱の加工が不要、そして箱にピッタリのシャーシ、シャーシの取り付けは、箱の底面からネジ止め出来る構造でメーカー品のラジオとよく似た構造になっていました。


◇ケースキットに組んだラジオ◇


 昔、ハーモニー(薄井木工)のダイアル目盛りが2バンドというケースキットの中古を買い入れました。コイルはと、開けてみれば中身は中波だけでした。
 シャーシはかなり大きく余裕があります。高一付き用なので短波は、ダイアル目盛どおりの6-18MCの2バンドを組み込みました。
 高周波増幅付きの2バンドコイルは手持ちが無く自作です。アンテナコイルは、昔風のトリマーがボビンの横に付いている品を見つけて巻直し、発振コイルの中波は既製品、短波はコア入りを巻きました。
 問題はプレートコイルで、中波はハネカム巻きが必要です。そして中波は非同調でも問題が無いので、短波は同調式とし、中波は非同調にしました。
 もう1つ6WC5を短波に使うと10MHZ以上では、感度の低下現象があるので、この感度低下を防ぐために発振周波数を同調周波数の下にしました。この方法ではPC(4000PF)を発信コイルではなく、アンテナコイルとプレートコイルの2箇所の同調コイルに入れます。
 結果は良く、18MHZでも感度とイメージ比が良いものが出来ました。
 しかし改めて配線図を見るとプレート回路は良いのですが、アンテナコイルはどうも変です。正しい回路にするには、スイッチがもう1回路必要なのでそのままにしてあります。



                         自作したコイル
 非同調高周波増幅                
 ところで非同調高周波増幅の利得がどの程度かというと、電波科学S25/2にシリーズピーキングコイルを使った例がでています。
 これによると、6D6を使い最高周波数を1.6MHZにすると利得は8倍、このときのプレート抵抗は5KΩ,ピーキングコイルは500μHです。
この回路で抵抗だけの利得は約4倍、短波まで使う非同調にすると、プレート抵抗は1KΩ,ピーキングコイルは20μH、利得は11.2MHZまで1.6倍、最高周波数18MHZでは利得は1.2dbで、殆ど増幅をしていません。
 短波でも増幅するには、6D6よりもGmの大きい球が必要になります。非同調なら発振の恐れがありませんから、高Gm管が使えます。昔の高Gm管、6AC7は残念なことにバリミューではないのでMTの6EH7が適当でしょう。
 球は最初42-80のつもりでしたが、手持ちのトランスが大きくシャーシのトランス部の穴に入らないのであきらめて、小型の6X5用トランスを使い球全部をST-12型の大きさの、6D6-6WC5-6D6-6ZDH3A-41-84にしました。
 一番苦労したのは、ダイアルの糸掛けで最初はバリコンが半周しても針がダイアル目盛の半分しか動かず、よく見るとダイアルシャフトの横にもう1つドラムが付いており、このドラムにバリコンを回す糸と、針を動かす糸を別々に張って解決しました。


◇回 路 図◇


 調整の問題点
 短波、特に6-18MHZという広い範囲の周波数では、気を付けないと途中の周波数でイメージに合わせてしまうことがあります。このラジオも最初10MHZ前後の感度が悪く、よく調べたらこのあたりの周波数では、発振周波数が同調周波数より高くなっていました。


◇シャーシ後から◇


<2005.01.31>