◆定形型ラジオシリーズ◆

このページは箱入り娘型を取り上げています。

 誠にお粗末な外観で、小学生の夏休みの工作品選外程度みたいな箱です。
 箱の内径は、12.8X17.5X8cmで左上が並四、左2段目が3ペン、左下は高1で右上は3球スーパーです。そして右2段目が2球スーパー、右下が電池管スーパーです。
 箱入り娘型は球の保護そして仕舞っておくのには重ねて片付けられるので大変便利ですが、肝心の球が見えないという欠点があります。


◆積み上げた箱入り娘◆


◇3球の並4(トランスレス並4)◇
6F7-76-25Z5



 この箱に普通のトランス付き並四を入れるのは無理なので、スピーカーはマク゛ネチック、球はSTを使うことで考えました。

5インチのマグネチックスピーカーは、箱にぎりぎりで入り、球はスピーカーの隙間に3本何とか入りました。
 それで3球、トランスレスという変な並四ラジオになりました。
 約50年前のマグネチックスピーカーは音が悪く、音量調整が無いので再生コイルは豆コンが全部入ったときに再生が起きるように巻き数を調節しました。
 6F7を使ったのとトランスレスなのでコイルはアンテナと同調のアース側を別々に引き出す必要があります。


3球の並4/6F7-76-25Z5回路図


 並四ラジオが実用されていた頃は音量の調整は同調をずらして行っていました。
 そして一家にラジオが1台の時代は音量の調整は余り必要ではなく、スイッチを入れれば棚の上の高いところから音が出てくる状態でした。
 6F7のG1が箱に接近して誘導ハムが入り、シールドケースを被せる余裕が無いので箱の内部にアルミ箔を貼りシールドしました。やはりこの大きさの箱にST管を入れるのは少々無理がありました。電源スイッチは箱の横に付けてあります。


◇トランスレスの3ペン◇
12SJ7- 12A6- 50X6


 このラジオも並四と同じ箱入りです。
 並四の初段には6F7を使いました、ところが小型に組んだのでG1と箱が接近して誘導ハムが入り、シールドに苦労したのでメタルのシングルエンド管を使用。
 出力管は6G6の予定でしたが、12SJ7-6G6-50X6の構成でヒーターを直列につなぎ直列にダイオードを入れて点火したら6G6が過熱でスイッチを入れると定常状態の約2倍の電圧が加わります。
 これは6G6のカソードの熱容量が小さいので他の球より早く暖まりヒーターの抵抗が大きくなり、他の球は暖まり方が遅いので抵抗が小さくこの差で球のカソードの温度が落ち着くまで大きな電圧が加わるのが原因です。
 6G6を12A6に変えたら良くなりました。しかし12A6はビーム管であるので、ヒーター電流が150mAの5極管の12ZP1にしてみました。
 今度は、12ZP1は大きすぎるので再度12A6に変えました。
 従って3ペンではなく、3ビーになりました。ヒーターの電圧降下用にシリコンダイオードを使いましたが、シリコンと並列にコンデンサーを入れないと、同調ハムが入りますので注意が必要です。


トランスレスの3ペン12SJ7-12A6-50X6の回路図

 アンテナの入力に感度調整を付けたので使いやすいラジオになりましたが、廻しすぎると発振してしまうので再生を加減する必要のあるラジオは素人には使いにくいでしょう。


◇トランスレス高1(再生なしの高1)◇

18FW6A-18GD6A-34GD5A-36AM3B


 ヒーター電流が100mAの球で、ヒーター電圧の合計が約100Vになり抵抗などに無駄な電気を使わないのが良い点です。Mt管ならこの箱に楽に入ります。スピーカーは、なるべく大きな方が音量、音質とも良くなります。
 感度調整用に、高周波増幅管のカソード電流を加減する方法は可変抵抗に大型のものが必要なので、マイナス電圧を作り高周波増幅管のコントロールグリッド電圧を可変にしました。
 小型にするためにA,E,Sのコイルを使いましたが、1.2MHZからの感度が非常に低くなり1053KHZの中部日本放送は聞こえるのに東海ラジオ1332KHZが聞けないので、アンテナコイルだけをトリオのスーパーコイルに変えました。
 このようにアンテナコイルを取り替えただけで東海ラジオが聞こえるようになり驚きました。トリオのコイルは直径12mmのボビンに3分割巻きのハニカムコイル、アンテナコイルはハイインピーダンス型です。


再生なしの高一の回路図

 再生を付けなかったので音量の加減は1つのつまみだけになり使いやすくなりました、ただ分離が悪いので実用的にはスーパーの方が良いと思います。このラジオも並四と同じ箱入りです。


◇3球スーパー 複合管3球式の5球スーパー◇ 

14J7-3A8-70L7


 レフレックスでない5球式スーパーです。入手し易いやすい複合管となるとこの3A8ということになります。
 3A8のフィラメントは14J7,70L7 のカソード電流の合計で点火してしみましたら3A8に掛かる電圧は2.4Vとなりました。そして3A8のフィラメント電圧は14J7のバイアス電圧になります。
 最初14J7のプレート側には単同調のIFTを使ったところ、局部発振の電圧が3A8のG1に加わり3A8がうまく働かず感度がとても低い状態でした。


複合管3球式の5球スーパーの回路図


◆2球スーパー(レフレックス)◆
6F7-12A7のトランスレス


 
 12A7の5極部を、中間周波増幅と低周波の出力に使用した、レフレックスです。12A7はcpgが大きいのIFTの1次は非同調です。このような出力管のレフは入力電圧の波形が大きくなるので無理があり、音質は良くありません。
 2本の球のヒーターを直列につないでも18,9Vなので、抵抗を使って電圧を下げると大きな電力が必要で発熱も大きいのですが、コンデンサーを使ったので発熱が無く便利です、しかし計算どおりの容量のコンデンサーが得にくいのが欠点で、2個のコンデンサーを組み合わせてあります。



◇電池管3球スーパー◇
1LC6-3A8-1T56F7-12A7



 
 このラジオも定型ラジオです。電池はA電池が単2型のカドニカ2本、B電池は単5型のカドニカ48個で、充電できるので気楽に使えます。
 アンテナコイルはバーアンテナ、発振コイルは6A7用、IFTはトランジスタ用で配置は重い電池を下にしてあります。
 気を付けなければいけない点は3A8の3,5極部のG1の接地方法で、フィラメントのプラスとマイナスを間違えると球が働きません。


 
 このラジオ、どうも感度が悪いので球を1LC6-1AB5-1D8として、A電池は単2型のカドニカ1本にしてあります。感度が悪い原因は発振コイルのインダクタンス不足というお粗末さで、発振コイルにコアを入れて解決しました。