このラジオはトランスレスの高1、4球式です。今では人気があるようでオークションではかなり高価で取引されているようです。
しかし、実際に働いていた頃は他の並4に比べると故障が多く厄介なラジオで、テスター無しでは倍電圧回路の故障を見付けるのは非常に困難でした。 |
◇製作した123号受信機◇
当時もののバリコンを使いました。
このラジオの一番大きな欠点は、両波倍電圧整流が採用されていることです。この方式は球のヒーターとカソード間に高い直流電圧が掛かりヒーターとカソード間の絶縁破壊が起きます。
調べてみると、戦後のトランスレスTVではヒーターとカソード間の絶縁が問題視され両波倍電圧整流を使用してはいけないとはっきり書かれております。この為トランスレスTVは全て半波倍電圧整流が採用されていました。 |
◇斜め後部から◇
シールドキャップは使えなくなったケミコンの再利用
さて、このこの問題の多い厄介者の放送局型123号型を作ってみる事にしました。
というのも以前から123号のシャーシだけが残っており、それに改めて組み立てたいと考えていました。しかし部品が無いので、それに0.3Aシリーズの球で高1を作ってありました。 ところが最近123号型の改造品でダイアルとバリコンそしてマグネチックSPがそのまま使われたシャシをいただいたので、懐かしい放送局型123号をそのシャーシに組み立てる事が出来ました。 |
◇前方から◇
バリコンの横のケミコンは雰囲気の為ダミーです。
ただし、当時のようなトラブルを避ける為、整流回路は半波倍電圧整流にしてあります。配置はとんでもない失敗ですが、配線変更が面倒なのでそのままにしてあります。 原型の配置は12YV1-24ZK2-B37-12ZP1-12YR1になります。
バリコンの横には8μF×2の紙ケース入りのケミコンがありましたのでそれらしく並べてあります。 また、感度調整用の10K,VRが無く、20KのVRに20Kを並列に入れました。 |
◇光り輝くバラストランプ◇
B-37はバラストランプで、この管は電圧が少々変化しても端子間の電圧を37Vに保つ優れものですが今となっては非常に品薄です。
本来ならバラストランプを使うのがベストですが、勿体ないので代用を使うことにしました。 |
◇バラストランプの代用◇
コンデンサーは並列接続で容量調整、フイルムケースに入れます。
私がレス式ラジオを組み立てるときよく使う手で代用品としてコンデンサーを使います。これは発熱がないので大変好都合です。
12YV1,R1,などはヒーター電圧が12.6Vでは無く12Vで、球の合計電圧が60V,3Vはパイロットランプの電圧となっています。 B-37代替えコンデンサーは60Hzでは5.1μFとなり50Hzでは6.15μF になりますので、耐圧DC250Vのフィルムコンを使いました。 私は表記4.7と2μFのコンデンサーを並列につなぎました。どちらもすこし容量が記載された値より大きく好都合でした。 最後になりますが、貴重なダイアルとバリコンを戴いた鈴木さんに深謝します。 |
◇回路図◇
<2009.09.08>