◇球の高1ラジオの問題点◇

高1ラジオの制作にあたり問題点等を簡単に取り上げてみました。


 中波の高周波1段増幅は結構面倒です。コイル、球、バリコンの配置が悪いと発振します。短波帯では、コイルやバリコンの損失などの影響で、発振した経験は有りません。
 昔6D6(Gm1600μ,Cpg0.007PF)を使っても良く発振しました。
発振の要因としては
 1.部品の配置 普通はアンテナコイルをシャーシの上、プレートコイルをシャーシの下に置きます。アンテナコイルは2連バリコンと並びますが、2連バリコンのプレートコイル側の横に置いてはいけません。
 2.球のシールドとG1,Pの接続線 ST管はシールドケースが必要です。6D6,6C6と並べたときにはそれぞれのG1への線が近づくといけません。6BA6の場合はソケットの真ん中の管は必ずアース、時にはG1とPの間にシールド板が要ります。
 3.それでも発振する場合、バリコンの構造が問題になります。2つのセクションの間、上下もふくめて、シールドが要ります。良いバリコンと発振の恐れがあるバリコンを画像に並べてみました。


 左が良いバリコンです。2つのセクションの間にシールドが無いポリバリコンは高1には不適当だと思います。

 上に書いた3の処置をしても発振するとき発振を止めるには
 1.高周波増幅用には、普通リモートカットオフの球を使います。この球のカソード抵抗を発振が止まるまで増やします。
 2.2個のコイルのどちらかを、Qが低いものに取り替えます。この方法は分離も悪くなるので良い方法ではありません。
 3.プレートコイルの1次側は普通4mH程度のハニカム巻きのコイルです。
 このインダクタンスを自己同調周波数が535KHZ以下の範囲で減らします。自己同調周波数が535KHZ以下のコイルのインダクタンスを減らしていくと、自己同調周波数が放送周波数内に入り、発振する場合があります。最初から自己同調周波数が放送周波数内に入っている欠陥コイルもあり、この場合は高周波増幅管のPとEの間に50-100PFのコンデンサーをつけて、自己同調周波数を放送周波数外にします。ハニカムコイルの巻き数がどうも少ない、と言う場合要注意です。

感度が低い場合、既製品のラジオが修理をしてどうも感度が悪い場合は
 1.球の不良
 2.2連バリコン相互の容量変化 バリコンは電極板がカシメてありますが、この部分の接触不良でかなり容量が変わっている場合があります。
 3.コイルのQの低下 バリコン付属のトリマーを回しても、感度に変わりがない場合は、コイルを調べます。

 音量調整(感度調整)の方法
一般的なのが高周波増幅用にリモートカットオフの球を使い、カソードの電圧を変えて行います。抵抗を大きくしてもプレート電流が減るので、カソード抵抗に直列にVRを入れ
ただけでは、思ったほどバイアス電圧が大きくなりません。そしてスクリーングリッドの電圧が高くなります。
そこでB+から30KΩの抵抗でスクリーングリッドへ、スクリーングリッドから20KΩを10KΩC型のVR(左図の赤丸)へつなぎVRの真ん中をカソード、そしてVRの他端をアースという回路が使われました。この方法は良い方法なのですが、問題はVRで、10mA程度の電流が流れるので、大型でなければ直ぐに焼けます。C型も無いのでB型を代用します。
 大型のVRが手に入らないときは、アンテナコイルにVRを入れる方法または、最大-30Vの電圧を高周波増幅管のG1に加える方法を使います。


高1の主な部品とボリューム各種


<2004.12.12>