◇高二ストレートラジオ◇

 私が昔、ラジオを作り始めた昭和23年頃、田舎では普通のラジオが並四、高一は高級品でした。スーパーのラジオなどは見たことがありませんでした。その頃の最高級品といえば高二ラジオでした。


◇製作した高二の回路図◇


 ところが、私が並四そして高一と作り、次の段階に進む頃には、スーパーが現れて普及し始めたので結局、高二は作らず仕舞いに終わってしまいました。そこで改めてこの高二を作ってみることにしました。
 高二といえば、3連バリコンと、3個のコイルを入れた大きなシールドケースが3本並んだ大きなシャーシになります。今回は、手元にあった箱入りに組み立てることにしたので、 大きなシールドケースを並べる余裕は無く、コイルは高一コイルと、小型のコア入りハニカム巻きのコイルを使う事にしました。


◇当初製作したときのプレートコイル◇


 小型のコア入りハ ニカム巻きのコイルは、以前高一に使ったときに高い周波数の方で感度が低くて、当地に隣接する名古屋の東海放送1332KHzが受信出来なかったものです。
 球は2.5V球が高二には良く似合うのですが、発振が怖いので58よりもgmが小さな39を使うことにしました。
 バリコンも箱の都合でシャーシに取り付けられる小型を使いました。コイルの配置はアンテナコイルがシャーシの上、2つのプレートコイルは、シャーシの下にそれぞれ直角になるように配置しました。
 組み立ててみると、発振防止に気を遣ったので無事働きましたが、感度がとても悪くてグリッド検波、再生付きの高一以下の状態でした。これに低周波増幅、56を付け加え一応完成としました。


◇当初製作したときのシャーシ上◇

コイルが悪いので発振はしないが低感度


 しかし、これでは非同調の高二並で、改めてまともな高二に組み替えました。感度が悪いコイルは、普通の品と取り替えてシールドケースに入れ、他のコイルもすべてシャーシの上に出してシールドしました。
 これで、グリッドとプレートへの引き出し線が交差せずにシャーシの下はすっきりとしました。バリコンと、バリコンからコイルへの線もすべてシールドしました。そして、アンテナコイルからアンテナターミナルまでの線は、同軸ケーブルを使いました。


◇改良したときのシャーシ上◇

コイルの見直しとバリコン周りの配線に手を加えた。


 ところが、これだけシールドをしても発振します。最後の手段として初段のカソード抵抗を発振が止まるところまで増やしてみると、なんと6KΩにもなり、感度はがた落ちで、前と変わりありません。再度、各部の電圧を測定してみると、39のスクリーングリッドに110Vも掛かっていました。そこで80Vにしてみると発振は止まり、感度も我が家の標準アンテナ(室内に張った約2mのビニール線)で、昼間はラジオ神戸が入り、5球スーパー並なので安心しました。


◇改良したときのシャーシ上◇

各所にシールドを施した。


 バリコンの容量は430PF、従って高一コイルは少し巻き数が減らしてあります。中間に使ったコイルはコア入りなので、調整が出来て便利です。使用したトランスのB電圧が高すぎるのと、フイルドコイルをチョークコイル代用にするとハムが残るので、電源回路は2重にしてあります。出力管は、直熱管の47です。この球を使えば整流管に80を使っても、ケミコンに傍熱管が働くまでのピーク電圧が掛からない利点があります。


◇改良したときのシャーシ内部◇

コイルをシャーシ上に移動したためすっきりとした。


 感度調整用の可変抵抗はB型の10KΩです。小型のものではすぐに焼けてしまいます。C型の巻き線抵抗のものがあれば良いのですが、今となっては無理な話です。

 今回、試作での収穫は高周波増幅管のスクリーングリッドを下げると、感度があまり下がらず、発振が止まるということです。

<2005.03.09>