◇STAR高1付きの3バンドコイルを用いた電蓄◇


  遠い昔々の昭和20年代のことです。2バンドの5Sを作り終え、しばらくは満足して楽しんでいました。
 しかし、しかし持ち前のラジオ病が騒ぎ出し、次は欲張って高1付きの3バンド、更にレコードも聴けるようにと決めました。
 そして、スターのコイルを買い込みあれこれ思案しながら説明書を読みふけりました。
 購入したコイルに合わせ、ぼつぼつとバリコン、スイッチ、3バンドのダイアルなどパーツを買い込み、2年後にやっと電蓄が出来上がりました。
 計画時はモーターが78回転のSPレコード盤用だけでした。ところが完成してまもなく33回転のLPレコードが現れ、瞬く間に普及し始めてしまいました。
 やっと完成したSPレコード専用電蓄は時代遅れになってしまうので、思い切って電蓄を売り払いました。ただし、高1付きのラジオは勿体ないので、ダイアルだけはそのままにして主要部品を外し、普通の5Sにしておきました。


◇スターコイル◇

今回使ったコイルです。左は参考に並べた単周波のコイルです。 


  そんなちょっと悔しい思いがあったことも忘れつつある頃、何気なしにヤフオクを見ていると電蓄から外したと思われる3バンドのダイアル付きのシャーシーが出ていました。
 これは懐かしいな・・・あの思いが蘇り、ついついポチッとクリックしてしまいました。やってきたラジオはトリオの高1,3バンドコイルキット付きのIF2段6V6PPでした。


◇パーツを取り外したシャーシ◇

欲望と申しますか、再塗装して開いている球の穴を全部使うことにしました。 


  残念なのが、ダイアル目盛りで3.5-10MHzと刻んであること、使おうとしている我が家のスターのコイルは3-8MHzとなっていて調子が悪いことです。
 そしてシャーシーは、コイルキット用ではなく、穴が沢山開いたモノコイル用です。この為、当時から保存しておいた古いスターのコイルを使いましたが、3-8MCのコイルだけは目盛りと合わない為、少しほどいて受信帯を少し上げることにしました。
 シャーシーは球が沢山取り付けられる仕様になっています。本来、使わない部分はそのままにしておく場合が多いのですが、なんせ球好きの私のことです。
 シャーシを眺めあれこれ思案することしばし・・・、この穴を全部使った賑やかな3BANDとすることに決めました。


◇配 線 図◇

穴を全部使う為、中間周波増幅を1段増やし、更にアンプ部で穴を消化させました。


 構成は12球(内1球はマジックアイ)です。穴3個はIFTになりますが、 これは専用の穴になっていました。
 球の穴は丸くてパンチで簡単ですが、IFTは普通四角の穴です。穴なしシャーシを加工する場合面倒なので丸穴で済ませることが 多々ありますが・・・・
 構成球はRF(6D6)-MIX(ut-6L7G)-OSC(6WC5)-IF1(6D6)-IF2(6D6)-DET/AF(75)-AF/位相反転(75×2)-PA(45×2) でマジックアイ6E5です。


◇アンテナコイル◇

 トリマーを回せる位置に設置するのに苦労しました。 


 切り替えスイッチはシャーシに固定すると鏝が入らない部分があるので、前もって線をハンダ付けします。
 また同様にシャーシ上のコイルへの配線もバリコンやIFTが邪魔となる為、先に配線の必要があります。
 こういったトリマー付きコイルは、組み立て後ドライバーが届く向きにコイルを取り付けなければいけません。これらの取り付け方向を間違えると調整出来なくなります。
 オシレッターコイルは他のコイルに影響を与えないように仕切り板を使いシャーシ上部に設置しました。
 


◇プレートコイル◇

上に配置するとトリマーが回せないので下に取り付けました 


◇オシレッターコイル◇

ドライバーの届く向きにセット、シールド板も付けました。


 このシャーシは、箱に入れるつもりはないので、持ち運びに便利なように両サイドに取っ手をつけてあります。
 悪戦苦闘の末にやっと完成しましたが、やっぱりというか、8-22MHzは低い周波数のところでダイアル目盛りが上手く合いません。
 また、3バンドコイルの切り替えスイッチは、使わないコイルをショートさせるタイプのショートバー付きスイッチが必要となります。時代の流れと申しますか、このスイッチは製造しておらず手に入ることはまずないと思います。


◇後 部◇

球がいっぱい並び賑やかなシャーシです。


 懐かしさもあってか、後ろ姿も当時の面影を残しつつ、鉱石端子やUYソケット、サービスコンセントなどを取り付けました。
 見た目は、そのまま電蓄モーターやダイナミックスピーカーが取り付けられそうな雰囲気です。
 当時は部品が高価でやっと組み上げました。それに比べ生活が多少・・・気持ち?豊かになった為でしょうか、以外と短期間で組み上げることが出来ました。
 それに、CR等のパーツは小型で耐久性も格段と良くなり、当時ならぎゅうぎゅうになり取り付けに四苦八苦しなければいけませんでしたが、スカスカで大変容易になりました。


◇シャシ裏◇

今はCRも小型になり配線も容易です。


<2016.12.22>