我が国では男性の平均寿命は79.64歳、女性は86.39歳といわれます。
そんな長寿大国の我が国で私は今年で78歳を迎えることが出来ました。その記念にと78を使ったラジオを作ることにしました。 ただ78だけを使うなら普通のスーパーの6D6を78に変えれば良いだけのことですが、それでは簡単すぎて面白くないので、78を中心に通番号で70代の球を目標に探しました。ところが残念なことに整流管だけは80代になってしまいました。 |
◇製作したラジオ◇
使用した球は77-78-75-76-79-80(BK)です。
ケース、シャーシーは中古ラジオのものを利用しました。この為、製作時間は大幅に短縮できます。
これは見たところ自作用のケースキットだったようです。また、グリッドキャップは銅板をカットして加工しました。 これは金切鋏と銅板、それに鉄工キリがあればどなたにも加工できると思います。 電源トランスは手持ちのREXというトランスです。これはノーマルで使います。 |
◇ラジオの回路図◇
リップルフィルターはトランジスタを使いました。
出力の79は1本でプッシュブルで働かせることが出来ます。
本来は拡声器用でB級動作で働かせるように作られた球ですが、入力インピーダンスが低く設計されています。 普通、真空管のドライバーはハイ・インピーダンスで出力されますので79とマッチさせる為に入力トランス(マッチングトランスかライントランスというべきかもしれません。)を用いなければなりません。 本格的な入力トランスだと非常に高価な為、手持ちにあった7000t巻かれたチョークトランスを利用することにしました。 勿論そのままでは使えないので、コアの隙間に2次巻線を押し込み1:0.42×2のトランスを巻き上げました。 このトランスは7000t:3000t×2にしましたが、鉄心の窓が小さく巻き線を納めるために0.026mmの線を使ったところ直流抵抗が5kΩにもなってしまいました。 |
◇木箱に収めたところ◇
中古ラジオを再利用しました。
79という球は、本来8Wくらい絞り出せる球ですが、前記の抵抗がブレーキになり1W程度しか出力が出ません。
そのまま働かせてみるとオシロの波形は何とか1Wまでは綺麗なものでした。ラジオでは1W程度もあれば十分なのでこのまま使いました。 OPTは1次が100V(tap)200Vのヒータートランスを用い、入力トランス同様に2次だけ巻き替えて使いました。 2個のトランスを改造するのは時間もかかり大変ですが、上手く働いてくれたときはやはりうれしいものです。 巻き上げるコツはのんびりコツコツやるということでしょうか。 |
◇後部のアップ◇
プッシュプルのため低周波増幅部は3本使っています。
周波数変換は77のAAC回路(オートマティック・オートダイン・コンバーター)です。
しかし1450KHzあたりから発振するので、コイルL2を巻き替えL3に30KΩを入れて中和を取って何とか働くようになりました 感度は6WC5と同程度です。 出力段はB級のプッシュプルのため電源はレギュレーションの良いものにしなければなりません。 このラジオも少し余裕のある電源トランスを用いれば良かったと思いますが、出力を1W程度とした為、さほど大きな影響はなく普通に聞く分には十分なものとなりました。 |
◇ぴょん吉君と並んで◇
箱に入れて完了です。
以前のラジオはピョン吉君に囓られてしまったので叱ったところ、ごめんなさいをしていました。
上の置物は昔作った焼き物です。出来映えはいまいちですが、何故か可愛らしいと評判は上々でした。 |
※追記:2004.6.22発売の「ラジオライフDX Vol.3」にこの記事の一部が紹介されました。
その中に一部記載誤りがありました。正しくは下記のとおりです。 誤 「サイトオーナー鈴木さんの78歳を記念したもので」 ↓ 正 「原作者の津田さんが78歳を記念したもので」 |
<2012.05.18>