◇電池管の短波ラジオ◇

◇周波数カウンターを採用◇

ダイアルパネルが不要になります


  随分前に遊んだ9mm径トランジスタ用コア入りのボビン、これは6A7用の発振コイルを巻いたものですが、Qメーターもどきで測ると20MHZで200もありました。
 このコイルはジャンクもので手に入れたのですが、十分ラジオに使えそうなのでSTの電池管ラジオを計画してみました。
 球はオシレーターに1C7Gを使いました。調べてみると、どうやら短波では発振が難しいようなので、とりあえず1C7Gの部分だけを組み立てておき、巻いたコイルを付けて試してみました。
  これらのコイルは扱いやすいように、先に巻いた20-8MHZ,10-3MHZのコイルをプリント基板に取り付けました。こうするとトリマーのハンダ付けが大変容易で調整も簡単になります。
 1C7G周りだけで試験してみると上手く発振してくれました。ところが、実際にラジオ全体を組み立てると発振してくれません。


◇後  部◇

電池管ですが、ACで働かせています。 


 原因が掴めずコイルを外したりしてみると、どうやら中波のコイルが上手くなかったようです。
 あれこれ試してみると、コイルの銅箔部分を剥がせば働くことが分かりました。プリント基板はどうやらコイルのショートリングの働きをして発振が止まってしまったようです。
 原因が判りましたが、基板の銅箔剥ぎは意外と面倒です。中波帯で苦労したので、他のコイルは12.5mmのドリルの刃で銅箔を削りました。
 中波のコイルは13mm角のトランジスタ用、IFTのQが600KHZ=110,1MHZ=100,1.5MHZ=55というデーターが取れました。


◇コイルと切替SW◇

トランジスタ用コイルで小型のコイルパック 


  ラジオ作りで一番面倒というか厄介なのがダイアルの書き込みです。付けなければ良いのですが、どこを受信して分からなくなり、やはり不便です。
 そこで、今回は安価になった周波数カウンターを使い、バリコンはギア付きを用いました。このカウンターは任意の中間周波数分ダウンして表示することが可能で簡単にセットできます。
 ただ信号入力の取り付けで悪さをすることがあるので、一通り調整してから取り付けることをお薦めします。このように便利なものですから、今回のセットは3バンドにしました。
 普通のラジオは2バンドコイルの切り替えは、中波コイルをショートして短波を受信し、中波は短波のコイルと直列にして受信出来るようになっています。
 しかし3バンドにもなると直列接続は出来ません。というのも遊んでいるコイルが邪魔をして、放送が入らないとか発振が止まったりすることが多々あります。
 これを防ぐ為に遊んでいるコイルをショートしさせなければなりません。今となってはショートバー付きのスイッチは手に入らないので、スイッチの接点を増やしてコイルをショートさせるように細工が必要となります。この為、通常では4回路3接点で良いスイッチのところ6回路3接点を使うことになりました。


◇コイル基盤の裏◇

調整用トリマーが容易に取り付けられます。 


  使用球は1C7G(COV/MIX)-1D5GP(IF)-1M5G(IF)-1F7G(DET/AF)-1E7G(PA)です。このようにIFを2段にしたのは電池管はGmが小さいので感度をよくするためです。
 最初はIF段に1M5Gを2本使いましたが、この球はGm=1000で割合Gが大きくて発振してしまい1本は1D5GPに変更となりました。もし発振しなければ1M5Gを2本使う方が感度が良いのではないかと思います。
 余談ですが、1D5GPは変わった名前です。このGPのPはペントード管ということです。というのも1D5は最初4極管で発売されましたが、5極管に変更となり、4極管と区別させるために「P」が付けられました。
 また、4極管はG管のT(トライオード)の1D5GTです。1M5はアメリカの規格表には無いオーストラリア製です。


◇回 路 図◇

PAの1E7は双5極管なのでパラ接続としてあります。


 発光ダイオードのカウンターは便利なものでパイロットランプが不要になりました。
 予定では20-8MHZ受信出来るコイルのはずでしたが、取り付けてみるとのびが悪くて少し下がり気味の16-6MHZとなってしまいました。
 パネルはアルミ板の手持ちが無くなったので木の板を使いました。アルミより柔らかで加工がとても簡単です。


<2017.07.19>