その昔は自分で組み立てた球のラジオでのんびりと放送を聴くのが楽しみでした。
気かつけば時代はすっかり様変わりして今やラジオ放送は、パソコンやスマートフォンで聴く時代になってしまいました。スマートフォンといっても言い替えればハンディパソコンですが・・・ そんな時代ではありますが、昨年から東海ラジオ放送と中部日本放送がFMで放送を始めたことを知りました。 しかし、今までのFMラジオでは、この放送を聴くことが出来ません。なぜならばテレビがデジタル放送に移行されたことに伴って空きとなった従来のテレビ周波数帯を利用しているからです。 この先駆けの放送を聴いてみようと考え、パソコンにインターフェイスを取り付けて・・・では全く面白くないのであえて大好きな真空管式で76-95MHzが受信できるように計画しました。 |
◇回 路 図◇
あえてスロープ検波方式です。
全くの新しい放送ではありますが、昭和33年発行の「FMラジオの解説と製作」にあった簡易型のスロープ検波式というので受信してみようと思います。
この解説によると、オリジナルは6BL8(周波数変換)-6AU6(10.7MHZ中間周波増幅)-6AU6(グリッド検波)となっています。 早速球を揃えようと倉庫をあさっていると、壊れたトランスレスのスーパーを見つけました。ケースもあるし、これを改造して組み立てれば穴開けの容易だと考えます。 |
◇レスラジオを利用◇
76-95MHzまで受信できるFMラジオ
さて、トランスレスとなると周波数変換に使う6BL8は17A8の150mA管になりますが、あいにく手持ちが無く、昔買い入れた17AB9を使うことにしました。
この球はFMラジオ用に作られた高周波増幅用双4極管の10本足という特殊な球であり、その昔アンサンブルステレオなどにはよく使われていました。その前は6AQ8が使われていたと思います。 |
◇17AB9◇
この球は10本足という特殊な球になります。
以下IF,12BA6,DET12AV6,35C5,25MK15という構成で、一通り組んでみたところ音量不足でしたので、今度は17AB9-19HS6-12AU6-12AV6-50B5、整流はシリコンという構成にしてみました。
それでも、まだ感度不足でした。スロープ検波のFMラジオの記事は見かけませんので、やはり欠点が大きいのでしょう。 |
◇内部の様子◇
シャーシもそのまま利用します。
そもそもスロープ検波はFM波の簡易な検波方法であり、中心周波数の両側に発生するスロープをAM波として検波しているので感度や音があまりよくないとされています。やはり複雑になりますが、レシオ検波が良いみたいです。 |
◇フロントエンド部の様子◇
このバリコンも今となっては入手が難しいです。
ラジオ民放放送の先駆けといえば尾張名古屋といわれます。このFM放送も早い方かもしれません・・・
出来上がったラジオを聞いてみるとAM放送と全く同じでした。放送中に時折周波数の案内がありますが、FMの周波数では無くAMの周波数を告げるのが奇妙なところであります。 なぜこのような放送がされているのかというと災害時に活用出来るということらしいですが、このような活用は無い方が良いです。 |
<2016.02.10>