◇FM2A05Aを使ったラジオ◇

 FM2A05Aという真空管は海軍が第二次世界大戦中に日本無線に作らせた万能管で、テレフンケンの球をベースに作られたようです。
 しかし、日本無線だけでは大量生産が出来なかった為に松下無線、川西機械にも作らせましたが、性能が不安定で製造には至りませんでした。
 また、FM2A05Aを東芝にも要請をしたものの、製造が難しく、跡継ぎにRH-2をベースにしたソラという万能管を作りました
 このFM2A05Aは戦後市場に出回りましたが、質が悪く数年で雑誌の記事からも消えて代わりにアメリカ球が現れてきました。
 FM2A05Aはあまり人気が無かったのか雑誌の記事にも出ませんでした。
 そのようなことから、このFM2A05Aという球を知っている人は後期高齢者だけと思います。
 そんな背景の球ですが、このFM2A05Aはなかなか見栄えが良い球なので、これで5球スーパーを作ってみました。


◇FM2A05A◇

戦中の古い球ですが、なかなか見栄えが良い球です。


 この形をした真空管は他にはなく手持ちの数本のFM2AO5Aには一つも球名がありません。
 しかしこの球で出力管として使うのには無理なのでPAはPH-1、整流は5GK3を使いました。
 周波数変換は日本ラジオ工業NR53の6C6を使ったcgkの中和回路を参考にしました。
 この中和回路については電波科学S25/8にも載っていますが、6C6では5PFとなっていてFM2A05Aのcpgも計ってみると5PF前後なので 中和には同じく5PFを使いました。
 当然ながらFM2A05Aには2極管というのは組み込まれていません。従って検波は1N60を使いました。


◇回 路 図◇

COVは5PFで中和をとっています。


 出来上がり調べてみると周波数変換のカソード電圧は8Vで、発振電圧は4-7Vでした。
 この発振電圧は、カソードバイアスの電圧を超えると感度ががた落ちになるそうなので注意が必要です。
 やっと完成し、調整も済ませていざ放送を聞くとアンテナを接続しなくても名古屋の放送は音が歪みました。
 これはAVCの掛かりすぎで、対処としてAVC電圧を減らしましたが、アンテナを付けるとやっぱり歪みます。


◇正  面◇


◇後  部◇

シールドの要らない球ですがトップには必要となります。


 歪む原因はIFに使用したFM2A05Aはシャープカットオフの球だからで、これを12K7に取り替えると丁度良くなりました。
 アンテナ入力に減衰器を付ければ済むことですが、我が家の周りは最近太陽光パネルに取り囲まれて猛烈な雑音を拾います。
 この太陽光発電のノイズで遠距離放送受信はで出来ないのでこれで完成ということにしました。


◇シャシー裏◇

シャシー裏にバリコン出力トランスを組み込んで球を目立つようにしてみました。


<2019.12.05>