◇JRC Nシリーズを用いたラジオ◇

 この歳になってもやはり真空管が好きで、沢山の真空管に埋もれてみたいと常々思っています。しかし割れると危険で埋もれないようにしております。
 その好きな真空管のひとつにJRCのNシリーズというのがあります。これはオクタルベースのGT管で頭の部分をきゅっと絞り込んだとても好ましい形の球です。これにシールドケースを施した球もあります。
 このシリーズの中から使えそうな球を探し出して試しにラジオを組み立ててみました。


◇JRCのNシリーズ◇

大変魅力的な球だと感じています。


 このシリーズの中から12GC4-12GR4-12GDH4-12GP7-12GK10を使い、形式はスーパーとしました。
 このNシリーズのGT管は1946年、敗戦後まもない頃に作られた球です。この時代は物資不足であった為に引き出し線の材質も悪く、通常より鉄分の多いものでした。
 その為ベース中部で錆びて切れてしまった物もあります。これは外から見ただけでは分からないので注意が必要です。今回使ってみたところ不良品が多くて苦労しました。


◇試験用ラジオに組み立てたラジオ◇

以前、パーツの試験に使っていたシャーシを活用です。


 このラジオは、新しくシャーシ加工をするのは面倒で、部品テスト用のラジオとして作ってあったものに組み直しました。
 また、球の関係で12Vのヒーターが2回路必要となります。6.3Vが4回路あればよいのですが、あいにくこのようなトランスは持っていません。ましてや巻き直しも大変でしたので、ひとつは6.3Vのヒーターと直列に6.3Vのトランスを取付け、整流管用に12V/5VAのトランスを探して取付けました。


◇正 面◇

2個の小さなトランスはいずれもヒーター用です。


 バリコンは290PFを使った為、計算上アンテナコイルは310μH必要となります。
 これは、32mm径のボビンに0.25mmの線を巻きました。そのままセットしてもインダクタンスが微妙に変わるので、多めに巻いてから少しずつ減らして調整します。これが結構面倒でありました。やはりコイルは、空芯より調整が容易なコア入りに限ります。


◇アンテナコイル◇

空芯コイルは調整にいつも苦労します。


 配線にかかりましたがJRCのN球は引き出しが独特であり、アメ球とは全く違っていてかなり迷いました。流石にN球、アメのように甘くはありませんでした。
 配線も一通り終わり電源を入れてみると残念なことに12GDH4が切れていました。仕方無くオクタルベースに12AV6を入れケミコンのケースを被た代用球を作りました。また、最初に使ったPAの12GP7は音が濁りました。どうやらG1にヒーターからのリークがあるようです。
 2本目はスイッチを入れてしばらく働くと消え、ヒーターが冷えるとまた導通します。
 3本目はしばらく働くとG1とKがタッチするという球で、最後の4本目だけ無事に働いてくれました。
 2本しかない12GK10は2本とも接触不良で使っているとヒーターが消えてしまいます。この時に少しぐりぐりとひねってやるとまた働きました。 


◇回 路 図◇

初期型のスーパーのようなラジオです。


  Sメーターを付けてあるのですが、針があまり動きません。しかしAVCを外すとメーターが元気よく振れます。これはIFに12GR4を使ったのが原因のようです。
 リモートカットオフの12GV3があればよいと思いますが、この球にはまだ出逢えていません。

<2011.08.25>