◇ローインピーダンスコイルの高1◇

 高一ラジオは感度も良く扱いやすいラジオであり、また制作も比較的容易です。しかしコイルを自分で巻こうとするとプレート負荷のハニカム巻きは非常に難しく、余程の器用な方でないと無理だと思います。
 普通は市販のコイルを用いて組み立てるのですが、今回はプレート負荷用のコイルをハニカムではなく低インピーダンスのコイルを巻いて組み立ててみました。


◇試作したANTコイルとRFコイル◇

トランジスターラジオに付いていたフェライトを利用します。


 昔の高一用の球というと6D6,6SK7,6BD6などでGmが2000程度でした。これらの球でプレート負荷用のコイルをハニカムではない低インピーダンスのコイルを用いると感度がかなり落ちると思います。
 逆にHi-gmの球、すなわちTVに使われている球で、低インピーダンスのコイルを使えばどういう結果になるのだろうかと実験をしてみることにしました。


◇市販の高1コイルと6BX6そして6EJ7◇


 まずは球の選定ですが、7本足のMTに6CB6,6DK6,6GM6などがありますが、Cp-gが大きくシールドケースが必要となります。
 9本足のMTでは6BX6,6EJ7,6EH7等がありシールドケースも要しない為、これらの球で検証してみることにしました。


◇改造した高1ラジオ◇

MT管に変更しコイルを交換してみました。


 コイルはトランジスタラジオのアンテナコイルに使われているコアを利用します。これは小型でQも高くなり、巻き数も少なく済み大変便利です。
 また高一用の2本のコイルは、インダクタンスが同じでなければならない為、ひとつのコイルは、鉄心に紙を巻き付け、その上にコイルを巻き上げます。
 こうすることによりコイルをそっくり動かせる為、もう片方のコイルとインダクタンスを合わせることが容易になります。
 実験には、市販コイルも用いた6K7の高一を改造して行いました。同調コイル65t、プレートコイル10tを付け、球は6EH7を使ってみたところ高い周波数で発振してしまい6BX6に変更しました。


◇回 路 図◇

以前製作した高一の改造版です。


 この状態で6K7に市販コイルを用いた場合と比較したところ感度は殆ど同じとなりました。この結果からHi-Gmの球を用いることによりハニカム巻でなくても十分な感度を得られる事が判りました。
 このように高Gmの球を用いれば難しいハニカム巻きも不要になり、高1コイルの自作も簡単に出来ると思います。
 今は6BX6などのHi-Gmの球は容易に手に入るものと思いますから、既製品のコイルが手に入らない場合、大変有利な方法と思われます。

<2011.03.03>