スプレッドバリコンは国内のラジオ放送を楽しむだけなら、とりわけ必要のないものですが、ラジオには2バンド以上の短波帯も受信出来
る機種が存在します。
国内のラジオ放送(AM/BC)は受信範囲は535KHz〜1605KHzと約1MHz程度の範囲であるのに対し短波帯(SW)帯は約3.5〜13MHzと帯域が広くなります。 AMではダイアルで簡単に周波数に合わせることが出来ますが、SWは1BANDにAMが10個以上詰め込まれているようなイメージで簡単に目的の周波数に合わせることが難しくなります。 これを解決してくれるのがスプレッドバリコン(スプレッドとは広げる。広がる。展開という意味です。)で目的の周波数を微調整して同調し易くしてくれます。 ※短波帯はバンド数が更に増えると30MHzまでを3〜4BAND等で分けることになります。 バンドスプレッド付きバリコンで知っているのはアルプスで、1956年の名古屋の仲野無線のカタログによるとは2連のB-22が410円、スプレッドバリコンが付いたB-62は710円です。 そして、3連バリコンともなるとB-33が650円、スプレッド付きのB-92は930円と大変高価なものでした。その為、私はスプレッドバリコンとして発振バリコンに豆コンの羽をむ しり取ったものを使っていました。 |
◇バンドスプレッド付きバリコンを使ったラジオ その1◇
6K8を使いたくて作りました。最初は430PFの2連と発振回路だけに15PFのバリコンを使いましたが、その後にスプレッド付きの
バリコンが手に入り改造しました。
6K8用のコイルは市販されていないので自作です。 |
使用した真空管:6K8-6SG7-6S8-89-1Vです。 |
◇バンドスプレッド付きバリコンを使ったラジオ その2◇
家庭用のダイアル付きラジオを入手して改造した2バンド、高1付きです。 使用した真空管は、6K7-6SB7Y-6SK7-6SZ7-6N6G-5GK4で6N6Gは複3極管で前段の3極管ノカソードと出力のG1が球内部で接続してあります。 Ep=300V加えてOP=4W,、出力のG1の電圧は+です。 |
◇バンドスプレッド付きバリコンを使ったラジオ その3◇
昭和20年代の旧2アマチュア無線用で高1中2、BFO、ANL付きです。
BFOはVFOを相手局に合わせるのに使いました。 使用球は6SG7-6SB7Y-6SH7(T)6SS7X2,6SZ7,6AJ6,5W4,6AQ7GTVR105で,BFOは片方のコイルが切れたIFTをコルピッッ回路で発振させました。 6AQ7はP,Kが独立した2極があるのでANLに使いました。IFTはトリオのT11です。 |
◇バンドスプレッド付きバリコンを使ったラジオ その4◇
2セクションのバリコンB81を使いました。
このバリコンは250PF,180PFの2セクションで中波は2個パラで430PF,周波数は3倍、短波は180PFを使い2倍です。 コイルキットはKR42Cで535-1600KHZ,3.5-7.5MHZ,7.5-15MHZ,15-30MZです。 使用球は6SK7-6SB7Y-39X2-6ZDH3A-41でIFTは全線のC7,C7,C8で狭帯域に固定しています。 ダイアルは最初書き込み式を付けましたが、周波数の書き込みが面倒なので周波数カウンターに変えました。 これにより待ち受け受信ができるので便利です。 |
憧れでもありましたアルプスのスプレッド付きバリコンは、メインバリコンと軸の間隔が狭いので大きなプーリーは付けられません。
そしてカタログではスプレッドバリコンは最大容量は24Pですが90度回したところで12PFになりあとは変化しません。 トリオの9R4、9R4Jはアルプスのバリコンを使っていましたが、9R59では松下のバリコンに変更されメインとスプレッドは2個バリコンになりました。 周波数表示にはダイアルパネルが必要になりますが、スプレッド付きバリコン用のダイアルは菊水が作りました。 設定バンドの周波数は何種類かあるようで、我が家のものはD-38Cで550〜1.6(KHz)、1.5〜4.4、3.5〜10、8〜23(MHz)の4バンド用ですが、8〜23MHzのコイルは手持ちがなく自作しました。 ダイアルパネルはバリコンと同じカタログでは詳細がはっきりしませんが、キクスイの通信機用S-88Dが1,900円でエスカッション付きと思います。 家庭用のダイアルパネルはトーヨーの2バンドが900円3バンドが1,000円と高価で、同カタログの一番安い横行ダイアルは2バンドが320円となっています。 また、トーヨーのスプレッド付きバリコン用のダイアルパネルは、針がバリコン直結タイプなのでバリコンの高さ調整をしなければなりません。 |
<2022.07.30>