球つれづれ 1  球つれづれ 2  球つれづれ 3

◇球つれづれ 2 ◇

 この頁は、真空管の動作例やラジオを製作してみて気がついたことなどを取り上げたいと思います。


 【4】電圧を変えた場合の出力管の動作例の計算


 たとえば6AR5を180Vで働かせる場合、グラフから係数を求めて計算できます。
      ・Ep:250V/33mA
      ・Esg:250V/5.5mA
      ・Eg1:−18V
      ・RL7.6K
      ・Po3.4W
      ・180/250=0.72
      ・Esg:−18V×0.72=12.3V

 換算表の横軸 0.72からFP=0.4 Fi=0.6 Fr=1.2を求めます。
      ・Po:3.4×0.4=1.36(W)
      ・Ip:33×0.6=19.8(mA)
      ・Po:3.4×0.4=1.36(W)
      ・Ip:33×0.6=19.8(mA) 
      ・Isg:5.5×0.6=3.3(mA)
      ・RL:7.6×1.2=9.12kΩ
 と分かります。このEp180Vの6AR5をEp=250V Esg=180Vで働かせる場合は、変化するのはRLとPoだけで
      ・250/180≒1.39 
      ・RL:9.12×1.39≒12.7(KΩ)
      ・Po:1.36×1.39≒1.89(W)
 ということになります。


「オーディオ用真空管マニュアル」ラジオ技術社 換算表はCQ誌より


 【5】球の負荷抵抗


 6AR5をEp:180Vで働かせるにはRL=9.12KなのでOPT をどないしよう?と考える人もあるかと思います。
 しかし、RLは7Kでも12Kでも大差はありません。6V6のRLと出力のグラフを見ると良く解ると思います。
 また、OPTの負荷は、8Ωの抵抗ではなくボイスコイルです。このボイスコイルのインピーダンスは、周波数によって大きく変化している事が良く分かります。
 このように一例を上げてみましたが、この図からボイスコイルのインピーダンスは400HZで8Ωだったのが、4KHZに於いては約倍となり、1次側に換算すると5Kの負荷が10Kということになります。


6V6のRLと出力グラフとボイスコイルインピーダンスの例


 【6】中波の超再生ラジオメモ


 中波の超再生ラジオを作ってみたがどうも?という人は多いようです。
 ゛初歩のラジオ研究 ゛には「普通の再生式に比べて数十倍の感度」と書いてあります。しかし、私が作った超再生ラジオで放送を聞きながら、超再生の発振を止めて普通の再生式にしても、依然として放送が入るので普通の再生式と比較しても数十倍の感度があるとは、とても思えないのです。
 いくら考えても、どうしてなのか解りませんでしたが、ある日これは電灯線の誘導ではないのかとふと思いました。
 私が作った超再生は、電池管ですが、電源は電灯線から整流して使っています。試しに、電源は電池として、このラジオを外へ持ち出して比較してみることにしました。
 やはり、私の想像どおりで超再生では聞こえますが、再生式では聞こえないという結果になり、超再生の数十倍の感度というのが実感できました。


◇コア入りと空芯コイルの例◇


 蛇足ですが、超再生ラジオは、再生が強く掛かるようにする。ということで 低周波の発振は、強くなければ駄目で発振コイルが重要なポイントです。
 空芯なら出来るだけ太い線を巻いたもの、あるいはコアに巻かなければいけません。そして低周波発振させ、今まで掛かっていた再生が消える状態が必要です。
 また、単球なら3極でも5極管でも良いのですが、低周波1段を付けるときは検波に3極管を使い、安物の低周波トランス結合にします。
 これは強力な低周波発振の電圧が次段のグリッドに掛かるのを防ぐためです。抵抗結合では、強力な低周波発振の電圧が次段のグリッドに掛かってしまいます。この為、カットオフになり音が出ませんでした。低周波トランスを使うと10kHzの電圧は、かなりカットしてくれるので好都合です。


<2009.01.29>


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