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◇球つれづれ 3 ◇

 【7】0Y4,0Z4/G,1005,1006,1007 ガス入り整流管


 ガス入り整流管というと、なんとなく取っつきにくいのですが、使ってみると意外と便利です。
 これらの球は、フィラメントを点けなくても整流し、シリコンのようで便利ですが、普通の整流管よりも寿命が短いそうです。
 また、1006を除きメタル管に見えますが、MG管となっています。これは、1番ピンのハンダを取り、4隅のかしめを広げるとケースが外れ、中身を取り出すことが出来ます。また、フィラメント付きの球でも、良品は無点火で働きますが、この場合最小電流の規定があります。


0Y4とその中身

○0Y4 この球だけが半波用です。1005,1007などはフィラメントを点火しないと半波整流は出来ません。この球4には通常のPの他に起動用Pがあり、0.002UFでバイパスした10MΩ抵抗を通じて起動用PをPに接続と規格表に書いてあります。これは、以前12Fの代用に使えないかと買い求めてみましたが、改めて規格表を見ると逆耐圧が300Vなので無理でした。
 とりあえず10MΩをつなぎ、AC100VをPに入れ出力側には2.5Kの抵抗と10UFのコンテ゛ンサーを入れ実験をしたところ、働いたのは10本中4本で他は駄目でした。
 そこで10Mの抵抗値を減らして行き、一番悪いものでも100Kで働きました。

 一番悪い球を取りだして調べてみると、フィラメントがあり、2本の引き出し線がまとめてKになっています。そこで2本の線を分離して電圧を加えると5Vで薄赤になりました。
 ガス入りの整流管のフィラメントは、普通の2極管のように電子放出用ではなく、放電のお手伝い用なので適当な加熱で働きます。


ケースとベースの再利用の例

 試しに、この球をKX-12Bと刻印のベースに入れて使ってみました。
 AC180Vが印加されていますが何とか働いています。
 動作中は綺麗な紫色になり、パイロットランプ代わりにもなりそうです。
 球を抜いたケースとベースは、勿体ないのでシリコンを入れてKH-2のメタル管風にしてあります。
 このようにメタル管は、ベースとケース利用すれば、立派な真空管に見えます。

動作中の0Z4G

 ○0Z4 これは6X5と差し替えて使えます。
 もし両波整流で新しくラジオを作る場合、整流管用のヒーター電源が不足、あるいは無い場合には0Z4が大変便利です。
最低電流が30mAと規格表にありますが、新しい球ならこれ以下の電流でも使えます。
 ○1005 この球も規格では最大入力はAC150Vですが、AC200V程度なら使えます。フィラメントは6.3Vですが、5Vで点火して12Bの代わりに使っています。両波整流ならフィラメントは無点火で使えます。

 ○1006 この球はST管で、このシリーズでは大型です。中古を5本購入してDC120mA流して使いました。最初は、フィラメントを点火して高圧を加えましたが、5本中2本しか電圧が出ませんでした。
 使えないのは残念なので、どうしようかとしばらく見ておりましたが、偶然にも球を手で握ると電流が流れ始めました。もしや、と思いアルミ箔で包んでみましたが全く駄目でした。
 この為、手持ちの1006を使ったアンプは、働かせるのにちょっと変わった方法が必要となりました。
 まずは、電源を入れる。→出力球のヒーターが赤くなった頃、1006を握って電流を流す。→働き始めたらフィラメントの電源を切る。という操作をして働かせています。


 ○1007  これは、マツダの中古を仕入れました。実験してみると下記のように分類されました。
 �‥展擦鯑�れるとフィラメント無点火でB電圧が出る球
 �▲侫�ラメント無点火では出力管が働くまで電圧が出ない球
 ��フィラメントを点火しなければ働かない球、の3種ありました。
 なお、マツダの1007は戦後作られたメタル管と思っておりましたが、藤室さんからMG管と教えて頂きました。


 【8】T型の球


T管の56と76

 T型の球とは、ガラスがGT型でベースはUX型とでも書けばよいのでしょうか。
 国産の6E5や30MC,B37などがこの型です。国産の6E5には、ST型は無いと思いますが、戦前のEZ6G5にはST型があります。
 最初から脱線しましたが、普通はST型で作られている球でT型というのが時々あります。
 国産球で集まった球は、戦前のUY56でこの球、反対側にはなんとUY27と書いてあります。商標はHOKOです。

不思議な形の42

 戦後の球は、KX-12K,KX-80BK(PULSE),25Z5(エレハ゛ム),UY-76(これは偽物でした。)です。JRC(諏訪無線)が-S付きでかなり多数のT管を作っています。外国製にもまれにあり、通信販売で買い入れて箱を開けるとT型が出てくることがあります。
 2A6,19,36,25Y5,25Z5,の5種と、カタログにT型と明記されていた6A7,41,76,80,が集まりました。
 この中の80は大量にあるようで、ST型の80より価格が安くなっています。それから1950年頃、近くのラジオ屋が修理中のラジオに、12GP7そっくりの形のJRC42が使われていました。
 最近Nシリーズの球の箱に球名と価格が書いた紙が貼ってあるのを見つけました。そこにはNシリーズの球となぜか42の名前があり、これがあの不思議な形の42でした。


 【9】MG管


MG管の6SJ7MGT

 これは、メタル・ガラス管です。「続魅惑の真空管アンプ その歴史.設計.製作」浅野 勇著という名著があり、オーデイオ球が主ですが、非常に楽しい読み物が載っています。ただ残念なことにMG管が、「キャトキン管」と書かれておりますが、キャトキンとMGは別の物です。
 この本には、SYLの.6SJ7とJRCのN-051の写真が出ています。このSYLの6SJ7は戦後のもので、この戦後のMG管の中身は、かなり面白いそうです。
 日本のMG管は、戦時中のHシリーズとFM2A05A,それに戦後のNシリーズ、その他マツダ/東芝の1007となります。Hシリーズは、ヒーターの点火を見るために、頭に穴があります。これはアメリカのMG管よりも進んでいるのか、それとも切れやすいのでやむを得ず付けたのでしょうか。
 外国の球事情は良くわかりませんが、RCAがメタル管を作ったときに、メタル管の設備が出来ない中小のメーカーがMG管を作ったようです。この当時のMG管を数本仕入れましたが、僅かな球の中に面白い、いずれもオクタルベースの80MG,38MGがあります。
 恐らく"80MG"は5Y3"と書くのが本当でしょう。しかし"38MG"は、シングルエンドなので差し替えて使える元球は不明ですが、電気特性は38でしょう。
 NECはMC-804Aなどの、NECだけの名前をつけた球がありますが、その中に"MB610GT=38"というのがありました。実物は見ておりませんが、MBですからシングルエンドで、アメリカでも日本でも38相当管の需要があったのでしょう。最新MG球を調べてみたらは12SK7/ブラジル製のRCAでした。


 【10】3YP1A,80K,80BK


3YP1A・6B4G

 TENが3YP1Aを作っています。3YP1とどこが違うのか今まで疑問でしたが、内尾さんから教えて頂きました。
 なんとカソードの引き出し線が、3YP1ではヒーターの中点につないであるのに対し、この球はヒーターの片側、つまり5ピンにつないであるのです。これでは47Bのところに挿すとハムが残ります。
 また、SYLの傍熱型6B4Gも同じで、ハムバランサーが中点ではハムが消えず、回していくと一番端でハムが消えました。そこで球の内部をよく見るとヒーターの片側につないでありました。
 TENの3YP1Aの記事にダインの球も出ております。手持ちのダインは、名前が3YP1ですが、カソードの引き出し線がピン1につないであります。
 私が持っている戦後の80Kは、松下と日立ですが、この球はカソードの引き出し線が ピン4に出ています。これはUSAの83Vと同じです。
 ところが戦前のDONの80Kは、カソードの引き出し線がヒーターの中点につないであります。この場合は、ヒーター用の5V巻き線の中点からB電流を取り出すのでしょう。もっとも昭和13年発行の「ラヂオ技術教科書」の球の規格表「80K」には、「ただし、カソードは管内に於いてヒーターの一端に接続してある」と書いてあります。

 TVの初期ダンパー管として80BK/HKが使われました。この当時のTV製作記事を読んでいたら、80BKのカソードの引き出し線は、ピン1または4に引き出されているので「球の内部を見て電流をどちらのピンから引き出すかを決めなさい。」と書いてありました。古い80BK観察の楽しみが出来ました。また、DANの広告にはダンパー用80BKというのが載っています。どのような球なのか興味のあるところです。


 【11】5V3A


定格が型番になった5V3A


 5V3Aと同定格の球は5Z3,5U4Gとかなり沢山あります。ところがこの定格が名前という「5V3A」が存在します。フィラメントの規格が球の名前となっているのは、私のところではこれだけです。もう1本「14」があり、こちらはヒーターが14Vです。


 【12】ヒーターが半分でも働く球


ヒーターが半分断線した5932

 2A3,5932の一部は、2個の電極が内部で並列になっています。ヒーターも並列なのでヒーターの片側が切れても、半分の規格で働いてくれます。
 2A3なら250V/30mA,RL=5K,OP=1.75Wと45類似となり、切れた2A3は45に差し替えてときどき使っています。また、80のごく1部にも2個のフィラメントが並列になっているものがあります。
 普通のフィラメント直列型は逆Vですが、この球はフィラメントが逆Wです。この球は、片側断線ならKX-80Bとして使えます。
 私が持っているこの式の80はNECマークですが、他社にもあるようです。その他に松下の5CG4も2個のフィラメントが並列、片側断線球があり、ベースを取り替えればKX-80BのK(傍熱型)になります。
 59,6A3Bや6Y6,12A5,25B6,などの1部にもカソードが2本(6A3Bは4本)あり、この場合1本のヒーターが切れるとどのような動作になるのか興味があるところです。
 松下のカラーブレテンNO.5には「Dシリーズによるポータブル配線図集」があり、この中に「低周波出力の充分あるときは出力管DL96のフィラメントの半分を切り離し、DL96を半分のフィラメントで動作させる。」と書いてあり、規格表では出力が半分です。


 【13】6L6


6L6ファミリー

左から6L6・6L6Y・1614・1622・1631・6L6A・6L6Gです。


 日本の敗戦後、昭和20年代に規格表で見た6L6はとても魅力的な球と感じました。というのもAB2級で最大出力47Wという大出力です。
 ところが、その後1958年発行の「全日本真空管マニュアル」の6L6のAB2級のところには「47Wの例はかなり無理な使い方で−38W程度が実用的な限度」と書かれていました。
 その後「続魅惑の真空管アンプ」の6L6のところには「6L6のAB2級動作については、RCAのイニシャルの発表と、後に改訂された規格ではかなりの相違があり、RCAの勇み足」と書かれています。
 このRCAのイニシャルの発表の例を探してみたところ復刻版、SYLの1937の規格表にAB2.PPがあり、EP400V,SG300V,出力60Wと記載されていました。
 また、昔読んだラジオ技術誌に、6L6AB2級アンプの記事があり、6L6Gの寿命が短いとかかれていた記憶があります。気になりましたので、この記事を図書館で探したところ、1950/6に「アンプ ロPA3 50Wアンプ  永田秀一」という記事を見つけました。
 このアンプは6L6G,AB2PPで「Ep625V,Esg325Vかかっている。RCAチューブマニアルのAB2級の最大Epは360Vまでなのに実に625Vもかけている。6L6G(大型ガラス管)と特に明記してあるのはそのためであろう。実地に毎日使用すると半年くらいで駄目になるようである。」とあり、出力は歪み率10%で58Wとのことです。
 寿命を考えると、どうやら原型の6L6は続魅惑の真空管アンプにあるようにAB1で25W程度の動作が良いようです。


<2009.02.19>


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